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インタビュアー(以下イ):こんにちは。

スクープ・ブランシスコ(以下スク):こんにちは。初めまして。

イ:こちらこそ初めまして。今日はわざわざ来て頂いてありがとうございます。

スク:いえいえ。

イ:あなたをこの様にインタビューできる機会を頂き、光栄です。この日が来る事をずっと夢見ていました。正直言って昨晩は寝れませんでした。目が充血して赤いのが分かります?けっこう痛そうに見えますよね。でも私はー

スク:あの、そろそろ最初の質問を・・・

イ:あっ、了解です。では最初に聞きたい事はやはりあなたの名前についてです。“スクープ・ブランシスコ”とはあなたの本当の名前ですか?それとも偽名ですか?もし偽名なら、どの様な意味があるのでしょうか?

スク:本当の・・・とはどういった意味でですか? もし“名前”の定義が“何かを示す言葉”であるなら、私を示す“スクープ・ブランシスコ”は私の名前と言えます。

イ:と言うより、その名前は貴方が生まれた時に授かった名前ですか?それとも貴方が人生のある時期に自分自身で創った名前ですか?

スク:ああ、それは勿論、私自身が創った名前です。

イ:やはり!それで何か特別な意味は?

スク:スクープ・ブランシスコは私が進歩の段階・・・もしくは進化の過程に創られました。私の生まれながらの本当の名前・・・法律上の名前と言ったら良いのかな?その名前は私が生まれる前、自分が自分だと認識できる前に創られたのだから、当然、現在の私を示しているとは言えません。名前が自分の存在を定めるべきか?自分の現存在が名前を定めるべきか?スクープ・ブランシスコは後者です。

イ:なるほど。ではあなたの両親はこのことについてどうお考えですか?あなたの本当の名前を創ったのは両親ですね?

スク:いえ、本名の名付け親は私の祖父です。実際のところ私は桑原光弘という、本名は気に入っていますよ。光弘は日本語で“光を広める”という意味で、本名は日常で普通に活用しています。スクープ・ブランシスコという名前は主に自身の作品を発表する際に使います。それは、なんと言うか・・・自分自身で創った名前を使うことで100%自分のコントロールができる、初めて独創的になれると感じるからでしょうね。それが私なりに芸術活動に真剣に取りかかっているという証拠です。

イ:しかしですね、偽名を使うことに懸念を唱える方はいらっしゃいませんか?人間の名前は家系はもとより、国の文化的な伝統の要素も含みます。あなたのほとんどの作品に文化的な要素は身受けられませんか・・・

スク:“RESET”シリーズの様な作品ですか?

イ:はい。

スク:ある程度は・・・そうですね。でも全ての面で賛同はできません。私の作品の中にも文化的な要素はたくさんあります。注意深くみれば分かるはずです。自然に滲み出てくると言うか・・・これは仕方ありません。ただ、なるべく文化的な要素を強調しない様には努めています。

イ:“文化的な要素を強調しない”と聞くと、自分の国、日本を放棄した様にも聞こえるのですが、それは・・・

スク:いえいえいえ、誤解しないで下さい。私は日本を敬愛しています。豊かな歴史と流儀に満ちた国です。実生活において、私は日本人であり、日本人でしか有り得ないのです。それに、 私は日本という国の熱心なファンでもあります。これまで日本からは離れている機会が多かったので、奇妙に聞こえるかもしれませんが・・・もしかしたら日本という国の良さは外にでたとき、他の文化と比べた際により一層、顕著に見えるのかもしれません。ただし私が作品を創る際、または発表する際に限っては日本人のアイデンティティーに制限を感じるのかもしれません。予定調和になることを好みません。でも日本を捨てたりとか、そういったことは永久に有り得ないことですね。それともうひとつ・・・‘自分は芸術家である’と主張する際、私はとてもシャイになる傾向があります。おそらくそれもスクープ・ブランシスコという偽名を使っている理由のひとつと言えます。なのでこのインタビューが雑誌に掲載される際には私の本名は伏せておいてくれませんか?修正液で消す様な形で。何があっても本名だけは読者に知られたく無いので・・・宜しいですか?

イ:了解しました。心配無用です。あなたの本名が印刷されることは絶対にありません。それでは、あなたの作品についてもっと話して頂けませんか?

スク:作品とはどの作品のことですか?作品数が多過ぎて、時間的に全ての作品のことを話すのは難しいそうですが。

イ:全般的に話して頂きたいのですが。

スク:全般的にと言われても・・・作品は作品ですよ。どう表現すれば良いのか・・・私の作品について知りたいのなら、実際に見て感じてもらうことが一番です。

イ:しかし遠くに住んでいて、実際にあなたの作品を見ることが困難な方々の場合は?作品について語ることによって、遠くにお住まいの方々にもあなたの作品に興味を持ってもらいたいとはー

スク:私にとって言葉は二次的なものです。作品の中には少しは言葉を用いているものもあります。ただし、ほとんどの作品では言葉は作品の次に来る二次的な説明であり、ほとんどの場合必要のないものというか・・・

イ:あなたの哲学は賞賛します。ただし画や数字、そして言葉といった堅実なデータの情報を元に物事を判断する現代社会において、その様なことは言ってられない状況ではありませんか?それは現代美術の分野でも一緒です。単純に見る事で作品の全てを“感じる”ことができる時間の余裕がある方は少ない気がします。彼らは早急に“理解”したいのです。自分の作品について話さない状況でどうやってこの現代美術界で生き残っていけるのか、大きな疑問を抱いています。どうやっているんですか?

スク:どうやっているも何も、現代美術界で生き残ってるわけではないですから。私は週五日勤務の普通の仕事に就いていますし・・・

イ:どの様な仕事ですか?

スク:・・・敢えて答えることはないでしょう。

イ:それでは敢えて聞く事もないですね。

スク:良かった。

イ:良かった良かった。それでは芸術以外で興味のある分野はございますか?

スク:食べるのが好きですね。何か美味しいものを食べた際には非常に幸せなな気持ちになります。

イ:なるほど。では将来的に、例えば10年後にはどこで何をされているとお考えですか?

スク:どこで?まあ地球上のどこかにいることは間違いないです。何をしているか・・・そうですね。世界中の貧しい子供達に芸術を教える事で助けたい・・・と、口で言うのは簡単ですが、それは理想的過ぎるのかもしれません。実際のところ、10年後に何をしているのかなどは検討がつきません。少なくとも呼吸をしていたいとは思いますが、それ以外のことは・・・かえって喋らない方が良いでしょう。喋って実行しないよりも、喋らないで実行する方を私は選択します。

イ:もしくは、喋った後に実行するという手も・・・

スク:まあとにかく目を開けて、私が将来何をするのか見といて下さいな。今日のこのインタビューを誇りに思う日がいつか来るかもしれません。

イ:分かりました。本日はどうもありがとうございました。

スク:こちらこそ、ありがとうございました。

 

 
 

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