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インタビュー
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1.まず、スクープ・ブランシスコという名前についてお尋ねします。これは本名ですか?もしくは何らかの理由があった作られた偽名ですか?

偽名であり、本名でもあります。例えばあなたが私の近くで“スクープ・ブランシスコ”と呼んだ時、私は反応します。名前として完全に機能するので、本名であると言えます。しかし生まれた時に授かった名前ではないので、そういう意味では偽名です。“スクープ・ブランシスコ”はごく最近、発音がし易く、覚え易いという実用的な理由で作りました。

2.なぜ芸術家になろうと思ったのですか?そして、初めてそう思ったのはいつですか?

精神的に不安定な状況で、他に道がありませんでした。芸術の世界に入っていなかったら死んでいた・・・もしくは限りなく死んでいるのに近い状況であったと思います。賢さが足りないと言うか、柔軟性が足りないと言うか・・・とにかく私には自尊心が欠けていました。私が私でいることに喜びはありません。むしろ、自分のことは毛嫌いしています。だからこそ、私の作品は私自身よりも優れていないといけないのです。そして私の作品が褒められれば、私は勇気付けられ、何とか生きていこうという気持ちになれます。それと、私は芸術の持つ“無限の可能性”が大好きです。芸術という分野の多様性や自由度を危険だと問う人々がいる中、私はむしろそれこそが最大の魅力だと思います。初めて芸術家になろうと思ったのは、自分が初めて自意識を持っていると感じた頃・・・おそらく3歳ぐらいだったと思います。

3.あなたの作品について、お聞かせ下さい。

実は、最近はあまり働いていません。家の改築とか大工的なことは時々やりますが、所詮はアルバイトです。美術講師の様なことも少しやっていますが、それで生活ができているとは到底言えません。今は何か夜勤の仕事はないかと検討してしております。

4.そうではなくて、あなたの創る芸術作品についてお聞かせ下さい。

“芸術作品”と言える様な大した物はありません。私はお金を稼ぐためにも義務的に創っているわけでもありません。単に創りたいから創っているわけで・・・作品が私自身や私の考えを反映してくれます。作品は私が成り代わったものと言えます。仕事とは生活をする為にお金を稼ぐことです。それによって食べ物を買い、健康を維持し、何とかこの世界での滞在時間を伸ばしています。まだまだ大したことも成し遂げていない、大した物も残せていない私もやはりこの世界での滞在時間を伸ばしたいと感じています。どんな人間だって亡くなる前に何かを残したいと思います。そう考えるのはごく、自然なことでしょう。

5.あなたは、誰か他の芸術家の影響を受けていると感じますか?

どの程度まで影響を受けたかは分かりませんが、自身の許容範囲や分野を超えたところに挑戦する、そういった芸術家は常に賞賛しています。まず第一に、それぞれの分野内でもの凄い才能を発揮する芸術家がいるとして、その中で天才は自身の才能を最大限に発揮できる“分野”自体を再構築するのです。さらに天才以上の天才は、自身の成し遂げた偉業に満足することはありません。彼らは自身を常に向上する為に、新しい挑戦を続けます。例えるならマイケル・ジャクソンや猪木寛至・・・アントニオ猪木の様な人達です。

6.何かに感受されて絵を描くということはありますか?

描く題材に関しては自分自身の周りの環境、そして精神状態に強く影響されます。言い換えれば、私は第3者の媒体を通しての情報よりも自分自身の経験を元にした情報を信用しがちです。周りの様々な情報によって翻弄されるのは疲れますし、作品の中に不確かな情報の要素は含めたくありません。少なくとも私が見て、感じ、経験し、創るものは真実のままでないといけないと、そう考えています。

7.スタジオで作品を制作中に壁にぶつかった際などはどうされてますか?

単純に飲んだりリラックスをしようとします。クリエイティブ・ブロックは前向きに考えることで初めて省けます。休み無く絵を描くことで肉体的披露はピークに達します。私が好んで飲むのは水道水ですが、ポケットの中に現金が余分にある場合はリンゴ・ジュースを飲みます。

8.美術家の商業的、経済的な面はどのように扱っていますか?

扱っていません。正直に言って、理想的に芸術はビジネス的な面からは正反対の場所に位置するものだと信じています。絵画に関して言えば、私はその“単一性”に一番価値を見出しています。画家が絵を描き終わった時、目の前に世界中でただ一つの絵が誕生するわけです。いくら写真やコピー機、デジタル画で復元されたとしてもオリジナルは常にオリジナルであり、永久にオリジナルのまま存在します。私にとってビジネスとは数字の交換、そして数字によって築かれる信用関係です。“単一性”の絵画と“複製可能”なお金の価値を比べてみてください。どちらに本質的な価値を感じますか?商業的に必要だからといってこの異なる価値感を同じ土俵にあげる必要性がありますか?馬鹿げている!芸術には単純な数字では判断されない特別な性質があります。それに私は芸術の“生計を立てる事”に現実的でない点にも魅力を感じます。何か間違ったこと言っていますか?私がこの世に生を受けてから、かなりの時間が経過しました。精神的に生まれたての赤ん坊の様に純粋になることはもう不可能です。でも少なくとも私が創る作品に関しては・・・商業的なものからできるだけ距離を置くことで純粋さを保ちたいと感じています。

(LIeFE マガジン 2008年4月号のインタビュー記事から抜粋)

 
 

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