平成23年7月7日
スクープ・ブランシスコ、キャンバスを創る
スクープ・ブランシスコがキャンバスを作成した・・・ってこれニュースにするほどのこと?
「もちろん」ブランシスコ氏は答えた。「キャンバスとは、それすなわち絵画の土壌、土俵たるもの。何もない無の状態から土壌を作るのは非常に困難なことなのです。それをやっと作成できたという意味で、この絵画の9割の仕事は終わったと言えます。ええ、そう断言できます。」
白キャンバスの前で絵画の9割が終わったと豪語しても説得力は皆無だが・・・そもそも、既にできあがっているキャンバスを買えば済む話ではないか。キャンバス作成に費やす時間と、できあがったキャンバスを買う購入費、どちらの価値が高いのだろうか。タイムイズマネーとも言われている。
「確かに、キャンバスを作成するのは労力も時間もかかる。キャンバスを貼るだけで指が痛くなって腹がたちます。世間の常識で言えば、効率が良いとは言えません。でも・・・絵を描くという行為は、そういったキャンバスを作ることも含めて不条理なものです。そして、私はその不条理な点が好きなのです。」
マゾなのか。
それは良いとして、キャンバスの作成が終わったブランシコ氏、残りの1割・・・肝心の絵の部分の進行状況はどうなのか。
「その残りの1割が難しいんですね。何だか異様に筆が重いというか。トレーニング不足ですか・・・まずは体力をバッチリ付けないといけません。熱い夏は始まったばかり、まあ見ていて下さい。」
平成23年6月28日
スクープ・ブランシスコ、ヴォンゴレを創る
スクープ・ブランシスコがヴォンゴレを創った・・・って、これニュースにするほどのこと?
「勿論です」ブランシスコ氏は語る。「これこれこうしようというイメージが最初にあってそれを創ろうと試みたところ、時に予想もしないこと、もしくは予想以上のことが起こる・・・そう言った意味では、料理も絵画もほとんど変わりません。そこには創る喜びが確かにあります。それと食べる喜びも。腹が減っている時は本当に美味しいんです、このヴォンゴレ。」
ブランシスコ氏が自身の料理を紹介するのはこれで3回目となるが、言っていることが前2回と比べてほとんど変わっていない。手抜きですか?
「今は基礎の基礎から慎重に学んでいるところです。いずれは形にしても、味にしても冒険したいと思っています。まあ見といて下さい。」
平成23年6月19日
スクープ・ブランシスコ、オムライスを創る
スクープ・ブランシスコがオムライスを創った・・・って、これニュースにするほどのこと?
「勿論です」ブランシスコ氏は語る。「これこれこうしようというイメージが最初にあってそれを創ろうと試みたところ、時に予想もしないこと、もしくは予想以上のことが起こる・・・そう言った意味では、料理も絵画もほとんど変わりません。そこには創る喜びが確かにあります。それと食べる喜びも。腹が減っている時は本当に美味しいんです、このオムライス。」
言っていることは解らないでも無い。料理を作ることを“創る”と言う事で大袈裟に伝えようと頑張っている様にも聞こえるが・・・料理が芸術だと言うのなら、自分独自の料理を創ってみようとはしないだろうか。
「今は基礎の基礎から慎重に学んでいるところです。いずれは形にしても、味にしても冒険したいと思っています。まあ見といて下さい。」
平成23年6月13日
スクープ・ブランシスコ、ロール・キャベツを創る
スクープ・ブランシスコがロールキャベツを創った・・・って、これニュースにするほどのこと?
「勿論です」ブランシスコ氏は語る。「これこれこうしようというイメージが最初にあってそれを創ろうと試みたところ、時に予想もしないこと、もしくは予想以上のことが起こる・・・そう言った意味では、料理も絵画もほとんど変わりません。そこには創る喜びが確かにあります。それと食べる喜びも。腹が減っている時は本当に美味しいんです、このロールキャベツ。」
言っていることは解らないでも無い。料理を作ることを“創る”と言う事で大袈裟に伝えようと頑張っている様にも聞こえるが・・・料理が芸術だと言うのなら、自分独自の料理を創ってみようとはしないだろうか。
「今は基礎の基礎から慎重に学んでいるところです。いずれは形にしても、味にしても冒険したいと思っています。まあ見といて下さい。」
平成23年6月5日
スクープ・ブランシスコ、活動復帰を発表
スクープ・ブランシスコが長期活動休止から復帰を発表ー
昨日の記者会見にて彼は以下の声明を述べた:
「まあ何とか稼いで少し貯金することができました。いえ、金銭的な要因が全てというわけではありませんが・・・。実を言うとアレがアレとなったので、単純にアレのタイミングとしてアレであったと。夏が近づいたことで気温も大分暖かくなりまして、俗に言う“アレ”がアレになる準備ができたんじゃないかということです。」 ブランシスコ氏は笑みを浮かべた。
「一つ言える事として、私は今、凄い健康的なんです。もしかしたらここ数年で一番健康かもしれない。雨降って地固まる・・・喘息よ、さらば。要するに、健康になることで内面的な世界が外の世界を求め始めたということです。」
「活動休止中は何をされていたんですか?」記者のひとりが聞いた。
「何って・・・料理をしていたに決まってるでしょう。できることなら今、ここで御見せしたい。料理をすると毎回、何らかの新しい発見があるんです。それが料理の素晴らしさのひとつ。うん、これからは料理がクルね。」
平成22年12月26日
スクープ・ブランシスコ、活動休止を発表
スクープ・ブランシスコが長期活動休止を発表ー
昨日の記者会見にて彼は以下の声明を述べた:
「単純に・・・金です。大金を稼ぎたいと思ったことは今までありませんでした。でも、基本的なもの・・・食べ物さえ買えない様な状況に陥ったとき、それは考えます。正直、こんな声明を出す事も辛い。でも分かってほしいんです、空きっ腹では良い作品は創れないことを。」 ブランシスコ氏は顔を顰めた。
「私は人間は基本的に寛大で、尊敬できる生物で、世界は少しずつ良い方向に向かっていると信じています。それに意義がある者がいるなら、私は全力でその意義に反論する・・・私の作品の本質はそこにあります。しかし、芸術家本人が不健康な状態の時に、健全な作品は創れるでしょうか?作品を通して世界を良くすることができますか?お金が全てだとは言いませんが、資金を持つことで可能性が広がるというのもまた事実です。」
「活動再会はいつ頃になるとお考えですか?」記者のひとりが聞いた。
「何ヶ月後か何年後か・・・それは正直言って、分かりません。今はとにかく、資金を作る事に専念します。生きたいように生きる、なりたい自分になる、その為には時間を惜しみません。」
平成22年10月6日 スクープ・ブランシスコ、インタビューされる
スクープ・ブランシスコが“ジェニファー・・・こいつら天才ショー”にてインタビューされた。その模様はココの2番目のエピソードで少し観覧できる。
「ガッカリだね。」 ブランシスコ氏は語った。「紙袋を頭にかぶりながら話すと、周りの人は非常に聞き取りづらいんだ。何らかの対処法を考えないとね。」
何を発表するにしても言葉は重要な役割を果たす。例えそれが美術作品を発表する際も。もしかしたら、それは現代美術においてさらに顕著かもしれない。なぜなら、現代人はリラックスして美術を楽しめるということ、例えば絵画を観てどんな絵なのか推理するような時間と気持ちの余裕をもった者はほんの僅かしかいないからだ。
「全てを語る必要は無いんだ。」ブランシスコ氏は言う。「ただ、初めて自分の作品を観る者に対して入り口の門を開くぐらいの気持ちはあった方が良い。私は以前、言葉はまったく必要ないと信じていたのだが・・・間違っていたのさ。」
人によっては、美術は本能的に楽しむものだろう。それはある意味、正しい。だが、言葉によって人は初見の作品の理解をし易くなり、興味を持ち易くなるというのもいささか間違ってはいない。もし自分の作品を幅広く、もっとたくさんの人々に観てもらいたいと願うのなら、言葉の重要性を無視することはできないだろう。
「まあ・・・このインタビューに限って言えば、自分の言いたいことの半分も言えなかったよ。」ブランシスコ氏は続けた。「解決策としては・・・そうだね、声帯トレーニングをしたり・・・マイクを使うことかな。うん、それで万事解決ですね。」
平成22年10月4日 スクープ・ブランシスコ、サム・ウォにて絵を飾る
スクープ・ブランシスコがサム・ウォにて自身の渾身の作品である「ライフ・ゴーズ・オン」を飾った。サム・ウォとはサンフランシスコのチャイナ・タウンにて今一番権威があり、重要視されている老舗の中華レストランである。
「サム・ウォは素晴らしいんだ。」ブランシスコ氏は語る。「味は世界的にトップレベル、深夜の3時まで営業しているし、値段は驚くほど安い。そして何よりもそこで働いているスタッフが良い人達ばかりなんだ。」
ブランシスコ氏はかれこれ10年もサム・ウォに通っている。時に家族と、友達と、恋人と、敵と・・・そこを訪れると貧乏だった頃、本当に貧乏だった頃、ちょっと貧乏だった頃、そしてまあまあ貧乏だった頃が思い出される。
「結局、いつもここに戻ってきたんだ。飽きっぽい性格なのに珍しいといえば珍しいよね。」ブランシスコ氏は続けた。「まあ人生において良いときも悪いときもあったよ。どんなものでも変わっちゃうものなんだ。それはどう仕様もないこと。でも、サム・ウォはいつもここに居た。不変の美しさとはこのことなんだ。深夜遅く、ここの電灯の明かりが見える度に安心したものさ。彼らの存在に感謝している。そして私ができる感謝の形・・・それは絵を寄付するぐらいしかないと思ったんだ。私も元・美術家もどきのはしくれだ。『ライフ・ゴーズ・オン』を描いたときはまさかサム・ウォに飾ることになるとは思わなかったけど・・・まあ、テーマも色使いも合うと言えば合うかなぇ。」
サム・ウォは100年以上もここに居る。 ここで毎日何人もの胃袋を満足させている。 人生は続いていく。来る者がいれば去る者もいる。
人生は続いていく。それはけっして悪いことではない。サム・ウォはいつもここに居る。
人生は続いていく。それでも私はいつもこの場に帰ってくる。
人生は続いていく・・・
平成22年10月1日 スクープ・ブランシスコ、別のカフェにも作品を飾る
スクープ・ブランシスコがカフェ・ラヴィ(514オクタビア通り、サンフランシスコ)にて作品を飾った。
「これらの作品はカフェ用・・・むしろ、このカフェの為のみに創ったのさ。」ブランシスコ氏は語った。「このカフェのくつろいだ雰囲気が大好きなんだ。その一部になれることを大変、光栄に思う。」
“くつろぎ”は一晩で作られるものでは無い。沢山の人々の努力の積み重ねとその歴史によって作られるものだ。例えば“くつろぎの絵”は、絵描きの力のみでなく、批評家、見物人、そしてギャラリーとたくさんの助けがあって初めて形成される。
「私はカフェを信じ、これからも目標としていく。」ブランシスコ氏はそう締めくくった。
平成22年9月28日
スクープ・ブランシスコ、カフェにて作品を飾る
スクープ・ブランシスコがギャラリー・カフェにて作品を飾った。
「これらの作品はカフェ用・・・むしろ、このカフェの為のみに創ったのさ。」ブランシスコ氏は語った。「このカフェのくつろいだ雰囲気が大好きなんだ。その一部になれることを大変、光栄に思う。」
“くつろぎ”は一晩で作られるものでは無い。沢山の人々の努力の積み重ねとその歴史によって作られるものだ。例えば“くつろぎの絵”は、絵描きの力のみでなく、批評家、見物人、そしてギャラリーとたくさんの助けがあって初めて形成される。
「私はカフェを信じ、これからも目標としていく。」ブランシスコ氏はそう締めくくった。
平成22年9月22日 スクープ・ブランシスコ、替え玉人形にサヨナラを伝う
スクープ・ブランシスコがついに替え玉野郎を捨てた。
「我々にはけっこうな歴史がある。」ブランシスコ氏は言った。「もうかれこれ7年は過ぎたんじゃないか。」
ブランシスコ氏は数々の重要な場面でこの替え玉人形を使用している。代わりに授業に座ったこともあった。標識を持ったことや、作品のモデルになったこともあった。ブランシスコ氏がトラブルに陥った際には、代わりに罰を受けたこともある。一緒に海外に旅行に行ったり、車の助手席に座ったこともある。インスタレーション作品の一部になったこともある。彼は彼なりに精一杯尽くしていたのだ・・・。
「兄貴が欲しかったんだ。」ブランシスコ氏は語った。「肉親的な兄貴ってわけじゃないんだけど・・・まあ自分と本当に似てる、同じ様な考えを持って一緒に行動してくれる人だよね。何をするにしても一人よりも二人の方が全然効果的だってこと、誰だって知ってるしね。二人だと飛躍的に可能性が広がるんだよ。」
それでは、なぜブランシスコ氏は替え玉人形を捨てなければいけないのだろうか?なぜに今?
「それは・・・人生において、次のステップに移る為さ。替え玉野郎は所詮、替え玉野郎だしね。もう彼は十分、役目を果たしてくれたよ。十二分にね。でも彼にサヨナラを言うことで、私は新たな可能性を手に入れる・・・そう、次はスーパー替え玉野郎を創れば良いんだ。将来的にね。その事を考えるだけで私は嬉しくなれるのです。」
平成22年9月12日 スクープ・ブランシスコ、ギャラリーにて作品を飾る
スクープ・ブランシスコがサンフランシスコの アスペクト・フレーミング&ギャラリーにて数々の作品を展示している。
「これらの作品はギャラリー用・・・むしろ、このギャラリーの為のみに創ったのさ。」ブランシスコ氏は語った。「このギャラリーの洗練された雰囲気が大好きなんだ。その一部になれることを大変、光栄に思う。」
“洗練さ”は一晩で作られるものでは無い。沢山の人々の努力の積み重ねとその歴史によって作られるものだ。例えば“洗練された絵”は、絵描きの力のみでなく、批評家、見物人、そしてギャラリーとたくさんの助けがあって初めて形成される。
「私はギャラリーを信じ、これからも目標としていく。」ブランシスコ氏はそう締めくくった。
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